「KAWANOWA」な人たち Vol.4
『株式会社パーリィー 代表取締役 白潟 篤氏 インタビュー』
「若手の揺るぎないものづくりと、白潟社長のユニークな個性で生まれる」後編

KAWANOWAな人たち

 

 

後編は今後の夢やアメリカ大陸の旅の裏側についてお伺いします
前編はこちら

“次世代”へとつながるものづくり

腕の良い若手職人さんが活躍するアトリエ

現在では、20代の若手職人さんたちが4名も働いており、ほとんどがここ上石神井のアトリエで製作されています。忙しい時などは外部にも仕事を出したくもなるそうですが、「エルクの革は牛と違って伸びがあったり滑りも違うので、とても縫製が難しい。メーカー仲間に頼んでも断られるんですよ」とのこと。なので、職人としてはとても腕の良い方々が集まっているのだそうです。

そして一年前には、息子である白潟夏樹さんがパーリィーに入社しました。 今まで建設業界一筋で、ファッションやかばんなどとはまったく縁のない仕事をされていたとのこと。しかし現在では、イベント会場などで積極的にお客様に声をかけ、接客応対をされています。

株式会社パーリィー 代表取締役 白潟 篤氏(左)と息子の白潟 夏樹氏(右)

「きっかけですか? 父親に口説かれて入社しました(笑)。けれど、やってみたらとても面白いと感じています。イベント会場ではとにかくお客様に話しかけて、自分が使っているものをお見せしたり、触ってもらったり。そこから話が広がって購買に繋がると、心の中でガッツポーズですね(笑)。建設の仕事は、一般ユーザーさんと出会うことはめったにないので、ダイレクトに意見が聞けたりするのは本当に参考になります。」

ハーレーダビッドソンで旅する、アメリカ大陸10,000km

工房では若手が育ち、上が口を挟まなくとも自主的に仕事が回っていく状態。そんな会社が理想だと語る白潟社長はこの9月、ハーレーダビッドソンにまたがって“アメリカ大陸6,000kmの旅”を敢行しました。ちなみに前回は西部を4000キロ走っています。KAWANOWAブログでも白潟さんのアメリカ紀行を楽しみにされた方も多かったのではないでしょうか。

「とにかくアメリカが大好きだから(笑)。行かないと、その場に降り立たないとわからないことって、ネット社会になってもまだまだ多い。好きなのはニューヨークなどの都会ではなくて、今回もダラスから始まってヒューストン、ニューオリンズ、ルイジアナ、フロリダ、キーウエスト、ワシントン、フィラデルフィア、ニューヨークと、南部から海沿いをずっと走りました。やはりパーリィーの商品の精神的な“コンセプト”はアメリカにあるんです」
社長が体現してそのエッセンスを商品に落とし込む。そのために旅は白潟さんにとって不可欠なようです。

とはいえ今回の旅は決して楽なものではなく、竜巻に巻き込まれそうになったり、土砂降り中を走り続けたりと過酷そのものだったとか。 そんな道中、身に着けていたベルトバックルの石部分が、落ちてきた金属に当たり粉々に割れてしまいます。白潟社長は、「ああ、身代わりになってくれたんだなぁ」と思い、日本に帰ってから修理に出し、いまも丁寧に使っているそうです。
過酷な大自然の中で生活するエルク革も、そんなふうに“お守り”のように持つ人を守ってくれるかもしれません。

取材当日に修理から戻ってきたベルトバックル

パーリィーと言えばエルク革、と認識してもらえれば

今後の夢は?とお尋ねすると、「パーリィーと言えばエルク革、と言ってもらえるように、更に名前を知ってもらいたい」。
最近では、エルク革だけでなく、岡山デニムやクラシックな牛革素材にも幅を広げ、ユーザー層を拡大しています。「この『KAWANOWA』を訪れれば、上質の革ものがいつでも揃っている“革の専用サイト”として成長してほしいと思っています。私たちは横のつながりが強く、同業者でありながらメンバーもみな不思議なくらい仲良しです(笑)。ここにくれば革好きなお客さんも楽しめるし、自然に人が集まってくるような、そんな場にしていきたいですね。」と語る白潟社長。

最近では軽井沢や湯布院などに、世界観に共感する地方専門店との協業によるパーリィーの専門ショップがオープンしました。トレンド云々ではなく、ぶれない軸のあるコンセプトと明確な素材のチカラ。その魅力に引き寄せられる人たちが、少しづつ増えて来ています。

軽井沢店

若手世代による揺るぎないものづくりと、ユニークな白潟社長の個性がほどよくバランスして、これからもきっと素晴らしい製品が生まれてくるのではないかと思います。

KAWANOWAは、得意ジャンルもテイストも違ったメイドインジャパンのバッグメーカーが集まったサイトです。
バッグのご紹介に限らず、様々な情報や職人さんの横顔などもお伝えしてまいります。

それでは、次回もお楽しみに

パーリィーのブランド「PARLEY(パーリィー)」の商品はこちら

「KAWANOWA」な人たち Vol.4
『株式会社パーリィー 代表取締役 白潟 篤氏 インタビュー』
「若手の揺るぎないものづくりと、白潟社長のユニークな個性で生まれる」前編

KAWANOWAな人たち

 

 

リラックスした雰囲気の中、熱い想いを語る 株式会社パーリィー 代表取締役 白潟 篤氏
後編はこちら

白潟社長とエルク革との、運命的な出会い

手に吸いつくような質感が魅力のエルク革

「パーリィー」といえば「フィンランドエルクの革」と言えるほど、このブランドの代表的な素材として知れ渡っています。「エルク」とはヘラジカのことで、アメリカでは「ムース」と呼ばれています。厳しい自然環境の中で生息しているため、ワイルドで味わい深い素材になっています。(株)パーリィーの白潟社長は、このエルクの素材を日本で最初に扱った方でもありました。

「今年でパーリィーは31年目となりましたが、このブランドを立ち上げる前は、実は10年間革問屋で働いていました。革の事がわかるようになったら無性に何か作りたくなったという事でパーリィーを始めました。逆パターンですね。
ある日、タンナー(革を鞣す業者)を訪れた時に、このエルクの革がちょうどウエットブルー(鞣されてまだ乾燥していない青みの状態)のまま床に積んであるのが目に入りました。タンナーさんは“これは野生の革だから傷だらけで使えない”というのですが、私はワイルドで厚みのある革を見て、“これは面白いかも”と直感しました。それがエルク革との運命的な出会いでしたね。」

「傷はデザイン。ワン&オンリーの魅力」

タンナーさんにエルク革を鞣してもらうと、牛と違って1cmもの厚みがあり、重いうえに散弾銃の無数の傷だらけ。けれど白潟社長は逆に「他にない柔らかさ、表情の良さ、そして、傷さえも生きてた証として魅力だった」と出会った当時を語ります。

革の厚みは仕立てやすいように、1cmから4mmに漉いて薄くしました。それでもミシンで2枚縫い合わせると8mmにもなりますが、縫い代には漉きを入れずに厚さを活かしたデザインにしています。またエルク革はオイル入れをしなくても、充分にしなやかで繊維層も丈夫。染めは、革の中に色を染み込ませる染色仕上げなので、透明感があり素材の味わいが活きています。

エルク革の厚さが活きた製品達はしなやかで手になじむ

最近では本物のエルク革はほとんどなく、牛革に粗目のシボをつけたものが多く出回っているとのこと。けれど、パーリィーでは希少な本物のエルク革を使用するために、現地のタンナーと年間契約して日本に輸入しています。もちろん食用として狩猟され、副産物としての皮であることは牛と変わりません。

「傷があっても、逆にそれが“デザイン”でしょう」と仰られるように、傷や穴すらもワン&オンリーの存在感があります。まさに、ハーレーダビッドソンを駆るアメリカンバイク好きの白潟社長が愛用する、ワイルドなバイカーファッションにはぴったりのアイテムと言えます。

カシミアタッチの軽やかな触感がエルクの魅力

ところが、せっかくエルク革の商品を開発した直後は、まさに“返品の山”だったとか。
「そりゃそうですよね。ひとつひとつ革の状態も違うし傷もある。バイヤーさんに理解してもらえるまでには3〜4年位はかかりましたね。エルクの特徴や良さを活かすということは、普通の企画商品では無理がありました。今お付き合いして頂いている小売店さんには、皆さんご理解いただいているのがありがたいです。」と白潟さん。最初から上手くいったわけではないようです。

傷だらけの革なのに、どんなところからファンが広がったのでしょうか。伺うと、「とにかくファースト・タッチ」とのお答えでした。確かに、一度触ってみるとそのエルクの良さは圧倒的に伝わります。ふわっとした軽やかな触感と、カシミアタッチのクセになる指滑りは、五感に響く心地よさ。
またスマホの画面やメガネのレンズなど、精密機器をピカピカにするのも鹿革の特徴。パーリィーの「スマホケース」がKAWANOWAで人気なのも頷けました。

【PARLEY(パーリィー)】エルクアイフォンケース 6s対応

前編はここまで。
後編は今後の夢やアメリカ大陸の旅の裏側について伺った内容をお伝えします。

KAWANOWAは、得意ジャンルもテイストも違ったメイドインジャパンのバッグメーカーが集まったサイトです。
バッグのご紹介に限らず、様々な情報や職人さんの横顔などもお伝えしてまいります。

それでは、次回もお楽しみに

パーリィーのブランド「PARLEY(パーリィー)」の商品はこちら