「雨と仲良く過ごそう」前半

革の知恵袋

こんにちは。

いつも「KAWANOWA」の製品をご愛用いただき、ありがとうございます。

 

毎日暑いですねー。

 

今年7月は例年よりも早い梅雨明け宣言で、各地で酷暑が続いております。ただ西日本の豪雨災害など、“観測史上類をみない”を連発した雨量が続くなど、心配も多いですね。


台風やゲリラ豪雨などもいつどこで遭遇するか分からないので、普段から“雨に対するケア”も不可欠になってきています。
今回のテーマは「雨と仲良く」。そんな天候でも、どうすれば革ものを楽しめるかをお伝えします。

 

 

◆革のしなやかさは「水」と「油」のバランス


革製品はまさに“天然の動物の皮革”。このしなやかさは、皮革の繊維構造を成している「コラーゲン」のおかげです。

 

これらはタンパク質からなる繊維で、皮のほか骨、歯、腱、血管、筋肉などあらゆる組織に分布しています。皮をなめす際には、なめし剤とくっついて「革」を作ります。下記のように、繊維の間に“橋を架け”て丈夫にするというイメージがわかりやすいと思います。
 

コラーゲン繊維構造

 

 

革のしなやかさを保っているのは、「水分」と「油分」。そのどちらが不足しても、革は硬くなったりひび割れたりしてしまいます。ケアの基本は、汚れを落とし、クリームなどで水分と油分を補って、その繊維構造を維持することが第一歩。

とはいえ、今まで“なめし”工程を見てきたように、「皮」が「革」になるまでには、原皮を「洗う」、「鞣す」、「染める」など、大量の「水」を使う必要がありました。

 

もともと革と水は「仲良し」であるがために、実は「水分とは馴染みやすい(親水性)」特徴を持っています。その特徴から、高い「吸湿性・放湿性」が生まれるため、靴などで「通気性が良い」と言われるゆえんです。

 

 

◆もともとは“丸み”のあった動物の身体

 

万一、革製品が濡れてしまった時に、特にやってはいけないのは「急激に乾かす」こと。早く何とかしたいと、ドライヤーを使ったりストーブの前やクーラーの下などに置いておくのは厳禁です。


たとえば、おなじコラーゲン繊維で出来ている「イカの一夜干し」を想像していただくと分かりやすいかも。熱を加えるとくるんと丸まってしまいますが、もともと動物たちの身体は“丸い形”。革を作る際には、平たい形に伸ばして乾燥させているので、濡れることにより元に戻ろうとします

 

革の脂分が抜けて、乾いた時には風合いが変わってしまうことも。「濡れた状態」+「熱を加える」のコンビネーションの時が、最も革が弱ってしまいます

 

革の種類やなめし方、加工方法によって差はありますが、完成した革は基本的に「水」に対しては強くありません。なので、重要なのが事前の「ビフォアケア」になります。

 

さてそんな時はどうするかというと。。

 

 

◆買ってすぐに「ビフォアケア」を忘れずに

革製品は、使用していくうちに汚れやキズがついてきます。まず、買ってから間もないうちにクリームを塗ることを習慣化しましょう。革に油分が補給されて表面に薄い“保護膜”ができるので、後のお手入れも簡単になります。ちょっとした雨であれば、その保護膜で水濡れから守ってくれます。

 

クリームを塗ったその後に、防水スプレーもかけてください。革ものに使う防水スプレーは「フッ素樹脂」タイプがおすすめ。

 

フッ素系がおすすめ

 

一方で「シリコン系樹脂」もありますが、透湿性がないタイプなので傘や雨靴、レインコート、マリンスポーツウエアなどに向いています。またシリコン系は油汚れなどは防げません。


「フッ素樹脂」は、繊維を細かくコーティングし、適度に透湿性があるので革や衣類の繊維製品に向いています。油をはじく効果もあるので、防汚効果も高いと言われています。

 

成分はスプレーの後ろに記載されています

 

前半はここまで。雨対策に「ビフォアケア」は特に大切ですので、ぜひ「買ってすぐ」の対策を。

次回はいよいよ「濡れてしまってから」のポイントです。

 

 

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◆参考
一般社団法人日本皮革産業連合会
販売員研修テキスト http://www.jlia.or.jp/

 

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KAWANOWAは、「革とオトナのいい関係」を作っていくサイトです。
革についての知られざる知識あれこれを、これからもお伝えしていきます。また次回もお楽しみに。


文責: CHIENOWAコミュニケーション 川崎

◆アトリエからのお便り◆
第10回・モノマチ(東京都台東区南部地域)

山万

 

KAWANOWAも出店させて頂いた第10回モノマチ。

株式会社山万さんがモノマチの様子を動画にてご紹介しております!

 

モノマチの雰囲気が伝わる素敵な動画です。

是非ご覧くださいませ。

 

ものづくりのまち・台東区「浅草橋」「駒形」エリアへ
「革さんぽ」に行ってきました! part3

KAWANOWAさんぽ

こんにちは。いつも「KAWANOWA」の製品をご愛用いただき、ありがとうございます。

 

前回(Part1/Part2)は袋物・ハンドバッグの歴史を「袋物参考館」を通して、学んできました。今回は鞄の歴史を見てゆきます。

 

◆“かばんのエース”が設立した「かばんの博物館」

さて、革さんぽチームは浅草橋を後にして北上。浅草駅からほど近い場所にある、「世界のカバン博物館」を目指します。

 

こちらはもともと、スーツケースで有名なエース株式会社の本社ビルでしたが、本社移転とともにこちらの7-8階フロアを2010年に全面リニューアルして博物館にされました。

 

 

まず入口には革でできた等身大の馬や、こちらの創業者とご縁のある岡本太郎氏の彫刻などが立っています。気持ちもキリッと引き締まりますね。

 

 

こちらのビルの7階フロアが「世界のかばん博物館」。お話を伺ったのは、この博物館の館長である廣崎秀範さんです。

 

なんとエース株式会社さんは、1940年創業。プリンセストラヤさんの1年後になります。この時代はかばん関係の企業の創業期だったのですね。

 

 

「こちらの博物館では、エースが今まで40余年に渡り世界50ケ国、約550点の収蔵品を順次公開しています。かばんの歴史から、世界のかばんコレクション、かばんのできるまでなど、様々な角度からかばんを展示した世界でも珍しい博物館だと言われています。

 

 

また8階には、創業者である新川柳作の生涯と合わせて、弊社が歩んできた歴史上でのエポックメイキングの数々を展示する『新川柳作記念館』が併設されています。」


私たちのような取材チームだけでなく、一般のお客様も多く立ち寄られていたのが印象的でした。

 

◆かばんに変革をもたらした「産業革命」

まず最初は、かばんの歴史です。袋物の歴史と同じくらいの、江戸時代中頃が起源のよう。最初は「合財袋」や「柳行李」など、かつての生活のなかで欠かせなかった「道具」として存在していたようです。

 

 

「かばんにとっての大きな出来事は、ヨーロッパでの産業革命でした。機関車が誕生すると、移動手段が生まれ、人々は旅に出かけるようになりました。その時から家財道具を持ち運ぶものとして“トランク”が生まれたのです。

日本でも文明開化の頃になると、“かばん”というものが誕生しました。最初は、上流階級の人々の持ちものだったと言えますね。」

 

 

歴史の次は、実際のかばんコレクションへ。貴族が船旅を楽しんだ、クラシックなトランクたちが並びます。トランクは精巧な作りで、万一船が沈没した時には、これを浮き代わりにして浮かぶことができるのだとも。それだけ気密性が高いつくりなのですね。

 

そして美しい革のボストンバッグやトランク。目を見張るクロコダイルのバッグやワインボトル入れなど、当時の貴族のライフスタイルが垣間見えるようなラインナップが続きます。絢爛豪華。

 

 

 

 

そして、かばんの素材としては画期的な「バルカン(バルカナイズド)ファイバー」が登場。「グローブトロッター」などに使用されている、軽量で丈夫な加工紙で作られたスーツケースです。なんと100年以上前に、すでに開発されていたのですね。

 

◆60年代に大ヒットした「マジソンスクエアガーデン」ボストン

「そしてこちらは、1969年のアポロ計画の際に、月の石を持ち帰ったという『ゼロハリバートン』社のアルミニウム合金製アタッシェケースです。実はこのケースは、宇宙用として特別に改造されたものではなく、当時一般に市販されているものを少しだけ加工しただけなのです。

 

 

爆破に合っても中身が無事だったとか、様々な逸話もきいたことがあるのではないでしょうか。のちに2005年に、私どもエースが販売代理店になり、ゼロハリバートン社と提携を結びました。」


なるほど、スパイ映画などで見るあのフォルムは、まさにゼロハリバートンそのままなのですね。

 

そして、ありました!1960年代にヒットしたという「マジソンスクエアガーデン」とロゴの入ったボストンバッグ。これは10年間で約2000万個も売れたと言われ、当時の大ヒット商品でした。小さい頃は街でよく見かけました。

 

「実はこの製品は、それまでの革やキャンバス素材前提だったカバンに、ビニール(PVC)を持ち込んで、値ごろ感を追求した画期的なものでした。アイビールックと相まって若い世代に爆発的にヒットしました。

 

 

その頃からエースは、合皮、ナイロンなど、他メーカーが手がけていない新しい素材のかばんを、次々に開発していくことになります。『サムソナイト社』との40年間のブランド提携も、様々なチャレンジを重ねてエースならではの技術力を磨く機会になりました。現在はオリジナルの『プロテカ』を開発して、今では全世界へと輸出するまでに至っています。」

 

 

革かばんから始まり、合皮、ナイロン、アルミニウム、ABS樹脂、ポリカーボネートなど、様々な素材にチャレンジし、“ものを運ぶ”ことにこだわった企業の姿勢がよく理解できました。

 

 

そして8階の「新川柳作記念館」へ。

 

 

新川氏の創業時から今に至るまでのものづくりへの想いが感じられます。時代とともに、素材開発や生産地、提携先を変えつつ、芯である「創意・工夫・努力」を惜しまない姿がありました。

 

 

一言で「ハンドバッグ」「かばん」と言えども、そこには長い長い歴史があって、多くの先人の努力が今へと繋がっていることを、改めて実感しました。


予約をして頂ければ誰でも無料で入館できますので、ご興味のある方、また業界内の方でも一度ご覧になることをお勧めします。また新しい視点が生まれることをお約束します。

 


革さんぽチーム、次はどこに行きましょうか。ぜひご一緒しましょう。

 

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◆ご協力 (共に予約制)
袋物参考館(プリンセストラヤ)  http://www.princessbag.com/princess-gallery

世界のカバン博物館(エース)  https://www.ace.jp/museum/

 

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文責: CHIENOWAコミュニケーション 川崎