たくさんある革の種類【まとめ】 その3
<エキゾチックレザーについて 前半>

革の知恵袋

このコーナーでは、材料としての「革の種類」をわかりやすくまとめてみようとスタートしました。

 

前回までは牛、豚、羊などの“哺乳類”でしたが、今回は“は虫類・鳥類・魚類”など「エキゾチックレザー」を取り上げてみます。

 

「エキゾチックレザー」という呼び方になる以前は、牛や馬など家畜以外から得られる皮革の総称として「は虫類皮革」と名前がついていました。しかし、正確な表現ではないとの理由で変更。

 

エキゾチックレザーのクロコダイル革

 

家畜以外の動物全般を指す「エキゾチックアニマル(exotic animal)」を語源として、この呼び名が使われるようになりました。

上記の「哺乳類」「は虫類」に加え、「鳥類」「魚類」なども革として利用できます。

 

共通しているのは「脊椎動物」であること。骨で体を支え、肉や内臓を外から守る役割である“皮膚”を持った生き物です。


なので基本的に、皮膚は切られたり傷ついたり、薬品が付いたりしても元通りに再生しようとする丈夫な組織です。強い組織であるがゆえに、鞣したり染色する段階になると、時間がかかったり染まりにくかったりするのは、そういった“丈夫な皮膚”の特質とも言えるのです。

 

染色されたパイソン革


反対に、「昆虫」などは硬い殻に覆われて内臓を守っている生物なので、“皮膚”がありません。これらの生き物からは“革”は生まれないのです。

 


【ワシントン条約とは】


ワシントン条約は正式には「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」とやや長い名称で、動植物の保護のために設けられた国際協定です。


1973年にアメリカのワシントンで81ヵ国が参加して採決され、1975年に発効しました。2016年現在の締約国は182の国・地域となっています。


ワシントン条約の目的は、乱獲などによって絶滅寸前にある野生動植物を保護しようとするもので、規制の対象には毛皮、皮、骨、爪、血液など、対象動物の産物はすべて含まれ、さらにそれを用いた毛皮のコート、ワニ革のバッグ、象牙細工などの加工品も含まれています


「KAWANOWA」で扱われているエキゾチックレザーの商品は、ワシントン条約に基づいて正しく輸入された皮革であり、また日本製のものには「JRAタグ」という証明書もつけられています。

JRAタグ、織りネーム、しおりの3点セット。

 


【エキゾチックレザーの種類】


1.ワニ(クロコダイル、アリゲーター、カイマン)


◆ワニ革の種類と産地


爬虫類皮革の代表的なものがワニ革です。

現在、世界中に生息しているワニは、23種類ほどあると言われています。


その中でも、ハンドバッグなどファッションアイテムに使われているワニ革は、大きく分けると「クロコダイル」、「アリゲーター」、「カイマン」の3種類があります。


現在は生産量のほとんどが養殖されているもので、おもに米ルイジアナ州、アフリカのジンバブエ、パプアニューギニア、インドネシア、オーストラリアなどが産地です。

 

◆ワニ革の「肚」と「背」


ワニ革は、使われる部位によって呼び方が異なります。


「肚(はら)ワニ」とは、背中の部分を割いてお腹のウロコを活かしたもの。
「背ワニ」とは、お腹を割いて背中の凹凸を活かした革です。

 

背中の凹凸が特長


ただ現在出回っているものはほとんど「肚(はら)ワニ」。

ゴツゴツした背ワニは、60〜70年代のハンドバッグなどで流行しましたが、最近ではごく一部のアイテムにとどまっているようです。

背ワニのハンドバッグ
背ワニのボストンバッグ

 

◆ピンホールのような穴は?


ワニのウロコをよく観察すると、縁の近くにピンホールのような穴が開いているのがわかります。ワニの種類によっても違うのですが、比較的薄く染色されたものはそれが目立つ場合があります。


これはピンホールではなくワニの感覚器官で、「穿孔(せんこう)」と呼ばれています。いずれにしてもホンモノのクロコダイルである証です。

 

クロコダイルの穿孔

 

 

◆ワニ革の種類


(1)クロコダイル

 

クロコダイル革


一般的に「クロコ」と呼ばれるものはここに属しています。種類は「イリエワニ(スモールクロコ)」、「ニューギニアワニ(ラージクロコ)」、「ナイルワニ(ナイルクロコ)」、「シャムワニ」の4種類ありますが、特にウロコ部分がキレイに揃っている「スモールクロコ」はワニ革の中でも最高級品と言われています。

 

左側はマット加工、右側はグレージング加工。加工方法で風合いが異なります。


クロコダイルの原皮は、主にヨーロッパ、日本、シンガポールへと輸出され、ハンドバッグや革小物、ベルトなどに使われています。

 

クロコダイル革の財布と革小物

 

 

(2)アリゲーター


アメリカのルイジアナ州、フロリダ州の沼地や河川などで多く生息しているワニです。養殖事業は、ルイジアナ州を中心に大規模に行われていますが、野生のものも毎年数量を定めて、捕獲が許可されているそうです。


別名「ミシシッピーワニ」とも呼ばれ、アメリカでは「背ワニ」はカウボーイブーツとして人気を博している素材です。
 
(3)カイマン

 

ごつごつしたカイマンワニ


上の2つの種類に比べて体は小型で、別名「石ワニ」と呼ばれています。カイマンは全体的に骨のような部位が多く硬いので、同じワニ革であっても上記のクロコダイルやアリゲーターとは一線を引いて区別されています。
カイマンワニを「カイマンクロコ」や「クロコ」とは呼べません。

 

 

2.ヘビ(パイソン)

 

パイソン革

 

個性的で美しいまだら模様のあるヘビ革は、ファッションには欠かせない素材のひとつ。地球上には2,000種以上が存在すると言われています。

代表的なものが「ダイヤモンドパイソン」と呼ばれるニシキヘビ。

 

プリント加工がされたパイソン革小物

 

全身にダイヤモンド型の連続的な模様があります。この種の最大のものは体長が10メートルもあります。

なかには薬品で脱色し、まだら模様を消したうえでプリントなどの加工を施すタイプも増えています。

 

タイやミャンマー、インドネシアなどアジアの熱帯地方に生息し、養殖は難しいためほとんどが野生のものです。

 

ミンティアケース
パイソンを使用したバッグ、革小物は小さくても存在感がたっぷり

 

 

次回もまだまだたくさんあるエキゾチックレザーをまとめていきます!

 

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◆参考資料
日本皮革産業連合会 販売研修用テキスト http://www.jlia.or.jp/


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KAWANOWAは、「革とオトナのいい関係」を作っていくサイトです。
革についての、知られざる知識あれこれをこれからもお伝えしていきます。
また次回もお楽しみに。


CHIENOWAコミュニケーション 川崎

 

「革財布のできるまで」その2

革の知恵袋

前回からラモーダヨシダさんの「財布のできるまで」のコーナーを取材させていただいています。今回はそのつづき、「漉き」から。

 

(4)革の漉き

 

カード段やマチ部分など、財布の縫製には何枚も革が重なっている部分があります。それなのにコンパクトにまとまっているのは、「漉き」という技術があるからこそ。革の縫いしろを薄くし、まとめやすくすることです。

 

 

「漉き」には様々な種類があって、部分ごとに漉き分けられています。

もともと革は2mm程度から、厚いもので4mmほどの厚みがあります。

縫いしろを漉くことで、その部分はわずかコンマ5mm程度に。

 

 

単に薄くするだけでなく、「へり漉き」「なぞえ漉き」「ハズキ」など

パーツや部位に応じた様々な種類の漉きを施します。

 

 

また、腕がまだまだだと、漉きすぎて穴が開いたり切れたりすることもあるのだとか。

そんなサンプルまで展示してあります。やはり切ってしまうことなどあるんですねぇ。

漉きには繊細な職人技が求められる過程です。

 

 

漉きを入れるか入れないかで、お財布のボリューム感やサイドの直線が微妙に曲がるところなどがわかると思います。

 

下をよく見比べてください。

 


(5)財布の仕立て

 

革のパーツを漉いたらいよいよ「仕立て」の段階へ。

 

財布の仕立てには「へり返し」「切れ目」「細玉取り」「太玉取り」などの種類があります。縫う部分をどう仕立てるかということ。

 

 

「へり返し」はコバ(断面)が見えないように仕立てる方法で、「切れ目」は二枚の革を縫い合わせ、コバ部を磨きキレイに見せる方法です。

 

 

「細玉取り」「太玉取り」はいずれも、切れ目に薄く漉いた革を巻き付けて縫い付ける仕上げ方です。

 

 

そして、財布の職人技といえばこれ「菊寄せ」

仕立てるときに角部分にに集まった革を、細かく寄せていく技です。

 

 

そして「ネン押し」

 

見過ごされてしまいそうな技ですが、貼り合わせたパーツをしっかりと定着させるために、熱く焼いたコテでへりを押し付けながら線を引いていきます。この線を引くだけで、財布全体がすっきり引き締まった感じがします。

 

 

(6)素押し

 

革を裁断した段階で、「素押し」というものを施す場合もあります。

 

ブランドロゴや模様などを革に押印するプロセスで、これもうっかりするときちんと押せなかったり、ずれたりするそう。なかなか難しいですね。

 

 

そして財布を作るためには道具とミシンが不可欠。その道具たちとミシンはこちら。

 

 

「腕ミシン」という名前も面白いですが、その名の通り、腕が出ているような形をしていて、筒状になったものを縫ったりするのに不可欠です。

 


 

さて、「財布のできるまで」の展示はいかがだったでしょうか。


「バッグは縫製、財布は貼り」と言われるほど、財布はコンマ1mmのずれが許されない世界。薄い革を貼り合わせながら縫っていく作業は、実は女性が向いている世界とも。実際に、女性の革財布の職人さんは何人も活躍されているそうです。

 

そして、一つの財布ができるまでには、ベテランの職人さんでどれくらい時間がかかるものでしょうか。
二つ折りの“ファスナー付き札入れ”を作るとすると、

 

(1)まず型紙の制作に3時間。

(2)包丁を使って型紙に合わせて革・芯材などを手で裁断していくのに2時間。

(3)裁断した革に漉きを入れるのに約半日(4〜5時間)。全部組み立てて最終縫製するのに約半日(4〜5時間)。


合計して、約2日くらいかかって、ようやく1本の財布が出来上がります。大量生産には出せない、職人技を随所に感じることができるのが財布の世界と言えそうです。

 

財布がどう仕立てられているのかなど、普段はなかなか気づかないもの。これを機会に、ご自身のお財布の仕立てなどを振り返ってみると面白いかもしれません。

 

KAWANOWAでは、細やかな職人技を駆使した革小物や財布などの製品がたくさんあります。バッグの倍の工程を経て作られた財布など、改めてよく見てみることで、たくさんの発見がありそうですね。
ぜひお手元で実感していただければと思います。


◆参考資料
株式会社ラモーダヨシダ http://www.lmy.co.jp/lmy/index.html

 


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また次回もお楽しみに。