たくさんある革の種類【まとめ】 その5
<革の仕上げについて 前編>

革の知恵袋

このコーナーでは、材料としての「革の種類」をわかりやすくまとめてみようとスタートしました。前回は基本的な「革と合皮の違いは?」を取り上げました。

 

さて今回は、革が革らしくなるために必要不可欠な「仕上げ」について深堀りしてみます。

 

なめす工程を経て「皮」は「革」へと変化しますが、そのままでは傷があったり身体の部位によって繊維密度が異なっていたりと、“天然繊維”ならではのばらつきがあります。


そこで革の仕上げは、傷などを目立たなくしたり、使用目的に合わせた見た目や風合いにするという目的があります。

 

 

【まずは、仕上げ前の作業】


1.革に色をつける


革に色をつけるためには、大きく分けて二種類の薬剤を使います。単に“色がついている”と言っても、「色が中まで入り込んでいるか」または「色が上に乗っているか」の違いは大きいです。

 

(1)染料
革の繊維の奥まで入り込んで「染める」方法。
浸透しやすく見た目の自然な風合いを損なわない染め方。カーフやキップなどの表面のキメが整った、傷の少ない革に施すことが多いです。経年変化も楽しめる。ただ耐水性が低く、色落ちしやすいのがデメリット。

 

(2)顔料
革の上に色を「乗せる」方法。
着色になるので鮮やかな色が出やすく、色落ちもしにくいです。傷のある革などは、表面をフラットにすることが可能です。ただ染料よりも革の自然な風合いは損なわれます。

 

 

 

【染料と顔料のちがい】

 

 

 

2.革を柔らかくする


そのままでももちろん革としては使えますが、柔らかくしなやかに仕上げるほうが様々な製品に加工するのに便利です。

 

(1)加脂
革に脂を加えることで、なめし後の革の繊維が乾燥により硬くなるのを防ぎ、柔らかい風合いにします。

 

(2)空打ち
なめした革を、水を入れないドラムに再度入れて空のまま回転させ、革をしなやかにする方法。
他にも「ばた振り」という、機械に革をはさんで上下に激しく振って強制的に柔らかくする方法もあります。

 

以下は「ばた振り」の様子です。
 

 


3.ツヤを出す仕上げ作業


(1)アニリン仕上げ
塗膜の透明度が最も高く、革の銀面の特徴がはっきり見える仕上げ。傷の少ない上質な革に施すことが多いです。

 

(2)セミアニリン仕上げ
基本はアニリン仕上げと同じだが、革の傷を隠したり色を均一に染めるために、顔料を少し混ぜて使用します。

 

(3)カバーリング仕上げ
顔料をメインに使用し、塗膜の透明度はもっとも低いタイプ。重たく、色調の透明度が低い、ベタッとしたツヤが出ます。特に「ホワイト」は顔料のカバーリング仕上げでしか出せません。

 

革の仕上げは主に、「染料」と「顔料」の違いが基本です。これを押さえてくださいね。

では次回は、「さまざまな仕上げ」の種類です。

 

 

〜〜〜〜
◆参考資料
日本皮革産業連合会  http://www.jlia.or.jp/


━━━
KAWANOWAは、「革とオトナのいい関係」を作っていくサイトです。
革についての、知られざる知識あれこれをこれからもお伝えしていきます。
また次回もお楽しみに。


文責:CHIENOWAコミュニケーション 川崎

 

たくさんある革の種類【まとめ】 その4
<革と合皮の違いについて>

革の知恵袋

このコーナーでは、材料としての「革の種類」をわかりやすくまとめてみようとスタートしました。

 

前回は「エキゾチックレザー」を取り上げましたが、今回は「そもそも革って何、合皮と何が違うの?」という切り口でお送りいたします。

 

KAWANOWA」では、天然皮革を使ったバッグや革小物を多く扱っています。使っている革素材は、国内で鞣しを行ったものや、海外から仕入れた高品質なものなど、こだわりのある素材ばかり。

 

とはいえ、みなさんの身の回りには“革以外”のさまざまな素材のバッグが存在していて、時々何の素材を使っているのかわからなくなったりしますよね。
「これって革なの?合皮なの?」「そもそも合皮じゃだめなの?」「革であるメリットは何なの?」という疑問も聞かれます。


そこで、初心に帰って天然から合成まで「さまざまな“革”」をもう一度おさらいしてみます。

 

 

【そもそも革って?】​

 

1.皮革の国際規格定義

 

「天然皮革」とは、動物の皮をなめしてできた素材で、「革」や「皮革」「本革」などと呼ばれています。ちょっと難しい表現ですが、厳密に定義しているものとして、国際標準化機構の国際規格(ISO規格)によりますと…。

 

『皮革とは→オリジナルの線維構造を多少とも元のまま持ち、腐らないようになめした皮革に対する一般用語。
なめしの前、あるいは後に、層状に漉かれたり分離されたりした皮からも製造される。

だが、なめした革を機械的あるいは化学的に繊維状・粒状・小片あるいは粉状に粉砕し、シートやほかの形状にしたものは皮革と定義しない。表面塗装した革の場合、塗装膜の厚さは0.15mm以下でなければならない(国際タンナーズ協会で同意される。)』

 

と、いささかややこしい説明ですがこうなっております。

 

つまり皮革とは、もともとの線維構造を保ちつつ、それを薄く漉いたりした「銀つき」または「床革」は皮革と呼べるもの。

 

けれど、粉状の革屑を樹脂で固めた「再生革」は、皮革とは言えないということです。国際タンナーズ協会ではそれらを「ボンデッドレザーファイバー」と呼んでいます。


革屑を製品にリサイクルするという意味ではエコ的な側面がありますが、それを“本革です”と謳うことはNGだということですね。

こういった革クズを粉砕し、ボンデッドレザーファイバーが作られます

 

2.合皮って何?

 

本革については、様々な切り口からお伝えして来ましたが、逆に「合皮」のジャンルについて触れていきましょう。


まず、よく言われている「合皮」という言葉。

 

そもそも合皮は「合成皮革」の略称で、見た目や触感を天然皮革に近づけた素材のことです。一般的には、織り生地や不織布などをベース(基布)に使い、その上に合成樹脂をコーティングしたものです。


合成樹脂には、「ポリ塩化ビニール」や「ポリウレタン樹脂」を使うので、端的に言えば「ビニール」や「プラスチック」と同じジャンルになります。

 

合皮の一つ。PVCレザー

 

この樹脂を表面に塗って型押しをすることで、革のような雰囲気を出すことができます。ただ見た目は革に似ていますが、革独特の匂いや手触りまでを忠実に再現することは不可能です。


最近では動物愛護の観点などから、あえて合皮のことを「フェイクレザー」「ネオレザー」、または「ヴィーガンレザー」(ヴィーガンは絶対菜食主義者のこと)とも呼ぶブランドも出てきました。

 

ただ皮革とは元来食肉の副産物であり、廃棄して無駄にしないための方法もあるのです。

 

 

3.よく聞かれる「PVC」と「PU」の違いは?

 

この2つは、合成皮革の種類です。PVCとPUの言葉をまずご説明します。

 

◆「PVC」とは?


基布の表面に塩化ビニール樹脂を塗布し、質感を天然皮革に似せた人工素材です。

「ポリ塩化ビニール」を意味する“Polyvinyl Chloride”の略です。

 

PVCレザー

 

【「PVC」のメリットとデメリット】


PVCは比較的安価に手に入れることができる素材です。表面はPUより硬く、ツルツルとした肌触りが特徴です。

 

耐久性が高く汚れに強いので、水や中性洗剤で汚れを拭くことができるため、メンテナンスが非常に簡単です。カビたりすることもほとんどありません。素材は加工しやすくカラフルな色や型押しなど、様々なバリエーションに仕上げられます。


半面、通気性はなくソフト感や柔軟性は低いと言えます。また2、3年の使用で「経年劣化」が始まり、表面がカチカチに固くなったり、表面のコーティングが割れるなど傷みやすい素材と言えます。

 

 

◆「PU」とは?


基布の表面にポリウレタン樹脂を塗布し、質感を天然皮革に似せた人工素材です。

「ポリウレタン」を意味する “Polyurethane” の略です。

 

PUレザー

 

【「PU」のメリットとデメリット】


柔らかくもっちりとした肌触りが特徴で、本革に近い見た目と質感があります。合皮のジャケットやソフト感のあるバッグ、スエード調の素材によく使われています。


弾力性・柔軟性が高く、PVCに比べると通気性があります。撥水性が高く、革よりはお手入れはしやすい素材です。PVCより経年劣化はしにくいと言われますが、本革に比べるともちろん耐久性は劣ります。

 

湿度の高い場所での使用は、加水分解という水分との化学反応を起こし、表面がプラスチックのようにガチガチ・ボロボロになる可能性があります。

 

合皮の経年劣化の様子


4.人工皮革って?


実は天然皮革以外にももう一つ「人工皮革」というジャンルが存在します。これは、素材の構造や機能をより天然皮革に近づけたもので、三次元の特殊な不織布を基布に使っています。

 

素材の特殊性から、価格は合皮の倍以上。下手をすると天然皮革よりも高い場合もあります。

 

代表格としては「クラリーノ」や「エクセーヌ」。聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。「クラリーノ」は(株)クラレが1964年に開発した銀つき革のタイプ。当時はクラリーノの製のランドセルが一世を風靡しましたね。


また「エクセーヌ」は(株)東レが1971年に開発したスエード調の人工皮革。ピーチスキン調の滑らかな質感は、皮革と見まごうほどです。

 

いろいろ登場しましたので、下記に天然皮革と合成皮革を比べる図を書いてみました。「合成皮革」と「人工皮革」の両方を合わせて「人造皮革」といいます。ただこれは「天然皮革」との対語としての言葉ですので、あまり一般的に登場はしません。

 


 

 

5.天然皮革と合成皮革の見分け方


実は最近の合成皮革や人工皮革製品は、天然皮革と見間違えるほどよく出来ており、プロフェッショナルでもその判別は難しくなっています。

 

赤く熱した針金の先を当てて、その音や匂いを確認するといった方法があると言われますが、製品化したものには簡単に傷は付けられません。


確実に見分けられるとは限りませんが、下記に見分け方の一つとして知っておくと役に立つ(かもしれない)方法をピックアップしてみました。

 

(1) 間近で革の表面を確認する


◆天然皮革の場合
 →革を伸ばしてじっくり見ると動物の毛穴が見えます
◆合成皮革の場合
 →表面に型押しをしているので、毛穴はありません

合皮は近くで見ても毛穴が見えない。

 

(2) 切り口やベルトの穴など、革の断面を確認する


◆天然皮革の場合
 →少し毛羽立っていたり、断面が繊維質です
◆合成皮革の場合
 →コーティング処理されていたり、基布の布地や糸が出ています

 

(3)擦れた部分を確認する


◆天然皮革の場合
 →染料や顔料で仕上げをしているので、擦れた部分は色が落ちて染色する前の色が出ます
◆合成皮革の場合
 →経年劣化のため、ひび割れたり剥がれたりして布地が見えることがあります

 

(4)タグを確認する


◆天然皮革の場合
 →レザーマークがついていたり、「牛革」「馬革」などと記入があります。

 

天然皮革の場合は革の素材が記載されています

 

◆合成皮革の場合
 →PVCやPUレザーなどの合成皮革の場合は、「ポリウレタン」や「ポリ塩化ビニル」「ナイロン」といった表示が付いています。

 

 

消費者庁の「品質表示の手引き」には、「かばんの外面積の60%以上が表皮付きの牛革、馬革、豚革、羊革、やぎ革のものについては、その皮革名を用いる。また床革を用いたかばんは、「床革」の用語を用いて表示する。」とあります。

 

意外とわかりにくいのが「牛床革」の上に樹脂を塗布したもので、一見すると革なのか合皮なのか見分けがつきません。ヨーロッパのハイブランドの中にも、この素材を使っているところが増えてきました。

 


さて、天然皮革と合成皮革の違い。少し理解いただきましたでしょうか。

どちらが良い・悪いではなく、それぞれにメリットやデメリットがあります。

 

トレンドを手軽に楽しみたい方には、合皮のバッグは強い味方。


トレンドを季節ごとに短いサイクルで取り入れたい方は、リーズナブルな価格のほうが良いですし、経年変化を楽しみ長く愛用したい方は、だんぜん天然皮革をおすすめします。

 

各社の技術力が上がり、これからは素材の開発も更に進んでいくと思われます。そんな時代であっても、アナログな“天然皮革”の製品を誠実に作り続けていくのが、KAWANOWAのメンバーなのです。


改めて、お手元の革を観察してみても面白いかもしれませんね。

 

〜〜〜〜
◆参考資料
日本皮革産業連合会 http://www.jlia.or.jp/

 

━━━
KAWANOWAは、「革とオトナのいい関係」を作っていくサイトです。
革についての、知られざる知識あれこれをこれからもお伝えしていきます。
また次回もお楽しみに。


CHIENOWAコミュニケーション 川崎