たくさんある革の種類【まとめ】 その5
<革の仕上げについて 後編>

革の知恵袋

前編までは、「染料」と「顔料」の違い中編では、仕上げの種類をご紹介いたしました。

仕上げの種類はまだまだたくさん!

 

引き続き、「革の仕上げ」について解説します。

 


さまざまな仕上げの種類

 

(11)オイルレザー(ワックス)
オイルをたっぷり浸み込ませた加工法。エイジング(経年変化)の効果も高く、水に強いのも特徴です。

 

使い込むほどに色が濃くなって、奥深い光沢感を出していきます。アウトドアブーツなどに使われます。

 


(12)ウォッシュ加工
字のごとく、革を水洗いする加工法。洗い方や絞り方によって違う表情になります。あえてヨレたシワは、革を丸ごと水洗いして絞ることで表現されます。

 

革にはあらかじめ、硬化や収縮を防ぐ薬品をしっかり浸透させてから水洗いします。
またドラムに水と軽石を入れて回し、表面にアタリとムラを出す“ストーンウォッシュ”も代表的な加工法です。

 


(13)クラック加工
あえて革を痛めて、ひび割れするのを楽しむ加工法です。

 

革の表面に顔料を厚く塗ったあとに、引き伸ばす、揉む、ひっかくなどして顔料にヒビを入れていきます。他にも、乾くとパリパリになる薬品を塗ってからタワシでこするなど、職人によって様々な道具が駆使され、ユニークな表情を作ります

 


(14)パンチング加工
円形、三角形、四角形などの細かい連続穴をあける加工。表面を網目のようなパターンで覆い、軽くてさわやかな春夏向きの表情になるのが特徴です。

 

革ひもを編んだレザーメッシュの代用として開発されたという経緯があるそうです。

 


(15)プリント加工
顔料を使って革の表面にプリントしたもの。最近では、革製品とは思えないようなカラフルな柄が入ったものから、味付けとしてシンプルに入ったものまで、かなり自由度が高い加工方法です。

 

革に写真を転写する「インクジェットプリント」もできるようになり、バリエーションが広がっています。

 


(16)焼き加工
決して火を使うわけではなく、タンニンなめしの革の特徴を活かした加工法です。


なめした後に、染料を塗って乾かす際に、絞る過程のシワを残します。そのクタッとした素材にワックスを擦り込み、高速ブラシでバフィングするとアタリ傷がつきます。この傷が焼け跡の“焦げ目”に似ていることから「焼き加工」と呼ばれています。

 

 

 

以上が「革の仕上げの種類」でした。とはいえ、実はまだまだ紹介できていないものもあります。最近では技術の発達や、ハイテク素材の導入で、いままでにない新しい加工法も生まれています。また改めてご紹介しますね。

 

ご覧のように、加工ひとつとっても“膨大な人の手”がかかるのがレザーの面白さ。“天然皮革”の製品と向き合い誠実に作り続けていくのが、KAWANOWAのメンバーです。これからも“大人が楽しめる革アイテム”を作り続けて参ります。

 

 

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◆参考資料
日本皮革産業連合会  http://www.jlia.or.jp/


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KAWANOWAは、「革とオトナのいい関係」を作っていくサイトです。
革についての、知られざる知識あれこれをこれからもお伝えしていきます。
また次回もお楽しみに。


文責:CHIENOWAコミュニケーション 川崎

たくさんある革の種類【まとめ】 その5
<革の仕上げについて 中編>

革の知恵袋

前回までは、「染料」と「顔料」の違いを取り上げてみました。

今回は種類豊富な、「革の仕上げ」について解説します。

 


さまざまな仕上げの種類

 

(1)ヌメ革
牛の皮をタンニンなめしした革で、もっともナチュラルな加工法です。型押しなどの表面加工をほとんど施さずに仕上げています。数ある革の中でも最も革らしい雰囲気を持ち、素朴な匂いやなめらかな手触りが特徴です。

 

傷痕やシワ・血管や毛穴の痕などの、自然の刻印(ナチュラルマーク)がそのまま残されるため、表情がとても豊かで個性的です。


そのままでは5mm程度の厚手のものが多いですが、通常は染革工場で必要な厚みに漉き、染色、加脂の工程などを経て仕上げられます。

 


 

 

(2)銀(吟)つき革
皮革業界では、革のおもて側の表面のことを「銀」または「銀面」と呼びます。
革本来のキメの美しい“銀面模様”をそのまま活かしてなめし、染料仕上げをして深みのある肌合いを出した革のこと。仔牛を原料にしてクロムなめしした高級品の“ボックスカーフ”が代表格。ちなみに革の裏面のことは「床面(※9)」と呼びます。

 

なぜ「銀」と言うかという由来については、決して「艶があるから」というわけでも、「表面に銀が含有されているから」というわけでもありません。


外国では革の表面のことを「Grain(グレイン)」と呼びます。明治時代には近代的な鞣し技術を習得するため、海外から技術者を日本に招き入れていたそうですが、彼らが「Grain(グレイン)」と呼んでいたものを、当時の日本人には「銀」と呼んでいるように聞こえ、そのまま現在に至るということらしいです。

 

「えっ、そんなこと…?」と思えるような、意外な由来です。

 


 

(3)ガラス張り革 
短く「ガラス」とも呼ばれます。なめした牛革を、ガラスやホーロー板に貼りつけて乾燥させ、表面をバフィング(サンドペーパーでこする)して、表面に合成 樹脂で仕上げた革のことです。

 

耐水性と強い光沢感が特徴ですが、実は靴クリーム等が浸透しない為、キズ補修しにくい革と言われます。学生靴のローファー等が代表的です。

 


(4)シュリンク革
「シュリンク」とは、「縮む・詰まる」という意味

 

革の表面をキュッと縮ませるような収れん性の高い薬品を使って、全体に自然のシワのような模様(シボ)をつける仕上げです。革らしい風合いなので、最近は特に人気があります。

 

手触りはとてもソフトでしなやか、また傷や汚れもつきづらい革として知られています。

 


(5)スエード
革の内側(肉面)をバフィング(サンドペーパーでこする)し、ベルベットのような毛羽を立たせて、なめらかに起毛させた革です。

使われる革は、主に仔牛、ヤギ、ヒツジなどの小動物の皮で作られるのが特徴。

 

柔らかく温かみがあるので、手袋やブーツなどに使われます。
このような起毛革(きもうかく)は、お手入れがとても難しく、最初に防水スプレーをかけるなどの「ビフォアケア」が欠かせません

 


(6)ヌバック
スエードとは異なり、逆に成牛の革の表面(銀面)をバフィングし、起毛させて仕上げた革。

 

スエードに比べると毛足が非常に短く、ピーチスキンのような細やかな表面感をしています。表面に傷が目立つ革などは、こういった起毛加工が施されることが多いと言われます。


やはりこれも起毛革なので、ビフォアケアが必須です。

 

 

(7)ベロア
こちらは、成牛の革の裏面を起毛させたもの。スエードは起毛が緻密ですが、ベロアはもっと粗くて毛足が長いです。スニーカーやカジュアルなブーツなどに使われます。


床革(※9)の表面を毛羽立たせたものは「床ベロア」と呼ばれ、他の革よりもリーズナブルです。

 


 

(8)エナメル革(パテントレザー)
クロムなめしした革の銀面を、軽くバフィングして起毛させ、その上からウレタン樹脂を塗って光沢ある仕上げにした革。

 

独特のツヤ感はフォーマル用の靴などによく使われますが、湿気に弱く経年変化もしないので、しまい込んでおくと移染したり加水分解でボロボロになることが多いのが難点。


風通しの良いところで保管し、できれば普段からたくさん使ってあげることがオススメです。

 


 

(9)床革
厚みのある皮を、水平に2層にカット(漉く)した皮のうち、銀面を持たない内側の部分を原料にした革。ベロアのように仕上げたものを「床ベロア」と呼びます。


また最近では海外のメジャーブランドの中でも、床革の表面に顔料を厚塗りし、カーフの雰囲気に近づけた仕上げをしているものも少なくありません。

 

よくタグを見ると「ラミネート加工牛床革」などと書かれています。

 


 

(10)型押し革
タンニンなめしや混合なめしの革の、銀面にプレス機で加圧してさまざまな型を押した革。

 

 

クロコやオーストリッチなどの爬虫類の型押しが多いですが、中にはシュリンクの型押し、フラワー柄、水シボ、メッシュの型押しなどさまざまな型押し技術が発達しています。

 

素人目には見分けがつかないくらい、本物とそっくりな仕上がりになっているものも多いです。

 

 

以上、仕上げについてご紹介いたしました。

 

スエード、ヌバック、ベロアといった似た手触りで、仕上げ方法が異なるなんて、驚きでした。加工方法によって、同じ牛革でも全く異なる質感になるのですね。

次回も引き続き仕上げについて、解説させて頂きます。お楽しみに!

 

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◆参考資料
日本皮革産業連合会  http://www.jlia.or.jp/


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また次回もお楽しみに。


文責:CHIENOWAコミュニケーション 川崎